東京地方裁判所 昭和59年(ワ)11868号 判決 1989年10月16日
主文
一 被告国は、原告に対し、金八四〇万円及びこれに対する昭和五六年一〇月二一日より支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告の被告国に対するその余の請求及びその余の被告に対する請求をいずれも棄却する。
三 訴訟費用は、原告に生じた費用の一〇分の一と被告国に生じた費用の五分の一を被告国の負担とし、原告に生じたその余の費用、被告国に生じたその余の費用及びその余の被告について生じた費用を原告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。ただし、被告国において金二八〇万円の担保を供するときは、右仮執行を免れることができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告らは、各自、原告に対し、金四八八三万九七四四円及びこれに対する昭和五六年一〇月二一日より支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は、被告らの負担とする。
3 仮執行宣言。
二 請求の趣旨に対する答弁(1項及び2項被告ら共通、3項は被告江波戸豊子を除く)
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
3 仮執行免脱宣言。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 西島良太の死亡
原告の長男である西島良太(昭和四一年七月二日生。当時中学三年生)は、昭和五六年一〇月二〇日午前七時すぎころ、千葉県八日市場市砂原イ字反町一〇三八所在の旧防空壕(以下「本件防空壕」という。)内に立ち入り、土砂崩れのために生埋めとなり、同日午前一〇時二七分ころ、死亡が確認された。
2 被告国の責任
本件防空壕は、第二次世界大戦中に、旧海軍(香取海軍航空基地)がその用に供するための防空壕として掘削し、使用していたもので、戦後は放置され、右事故当時、人が内部に入れば土砂崩れをおこして生埋め事故の発生する危険性が極めて高い状態にあったこと、付近まで宅地化が進みまた付近に多数の貝塚が散在しているので化石採取のための立ち入りも多くなっていることから、補強工事をするか、立入禁止の表示をして入口を塞ぐなどの危険防止措置をとる必要があったのにもかかわらず、これを放置したのであるから、被告国は、国家賠償法二条、民法七一七条一項又は同法七〇九条に基づく責任がある。
3 被告千葉県の責任
千葉県警察本部八日市場警察署の警察官は、本件防空壕の存在を知っていた(地域住民の指摘により知っていたか、あるいは指摘がなくとも入口・内部は巨大であり、入口は住宅地から数十メートルしか離れていないから知っていた蓋然性は高い。)のであるから、警察法二条及び警察官職務執行法四条により、土砂崩れをおこして生埋め事故の発生する危険が極めて高い本件防空壕に対する危険防止措置を取るべき義務があったにもかかわらず、何らの危険防止措置をとらなかったものであるから、被告千葉県は、国家賠償法一条に基づく責任がある。
4 被告八日市場市の責任
(一) 法定外公共物たる本件防空壕の維持修繕等の機能管理は地方自治法二条二項ないし四項に基づき被告八日市場市に属し、本件防空壕は土砂崩れをおこして生埋め事故の発生する危険が極めて高く、補強工事をするか、立ち入り禁止の表示をして入口を塞ぐなど危険防止措置をとる必要があったにもかかわらず、何らの措置もとらなかったのであるから、被告八日市場市は、国家賠償法二条に基づく責任がある。
(二) 仮に、被告八日市場市が右機能管理責任を負わないとしても、同被告は、本件防空壕付近に立入禁止の立札を設置して事実上これを管理していたのであるから、壕の内部の補強工事をするか、又は立入禁止の表示のみでなく入口を塞ぐなどの充分な危険防止措置をとるべきであったにもかかわらず、これらをしなかったことについて、国家賠償法二条に基づく責任がある。
(三) 仮に、被告八日市場市が右機能管理責任を負わないとしても、<1>本件防空壕は戦後の混乱期を経ていて被告国による存在の確認が困難であること、<2>本件防空壕が放置されれば地域住民に危険が及ぶことは被告八日市場市において知っていたこと、<3>管理の消極性、地域との密着性を考慮すれば管理は同被告がすることが望ましいこと、<4>同被告が危険防止策をとる法律的障害は存しないこと、<5>被告国は建設省所管特殊地下壕対策実施要領を定めて地方公共団体が右事業を行う旨の通知をしていること、<6>地方自治法二条三項一号は、住民の安全、健康及び福祉を保持することとして二号以下に地方公共団体の事務を例示していることから、被告八日市場市は、補強工事をするか、立入禁止の表示をして入口を塞ぐなどの危険防止措置をとって事実上管理すべき義務があったにもかかわらず、これをしなかったことについて、国家賠償法二条に基づく責任がある。
5 被告江波戸豊子の責任
被告江波戸豊子は、本件防空壕が設置された土地を所有し、かつ、占有しているのであるから、人が内部に入れば、土砂崩れをおこして生埋め事故の発生する危険が極めて高い本件防空壕について、補強工事をするか立入禁止の表示をして入口を塞ぐなどの危険防止措置をとる義務があったにもかかわらず、これをしなかったことについて、民法七一七条に基づく責任がある。
6 損害
(一) 逸失利益
西島良太は大学進学を希望し、その能力を有し、原告も良太を大学へ進学させる意向であったところ、同人が生存していれば、進学して卒業する蓋然性は極めて高かった。満二二歳から六七歳までの四五年間に得る現金給与額の合計(賃金センサス昭和五六年第一巻第一表、大学卒勤労者平均給与額)を基準として、二分の一の生活費相当額を控除したうえ、ライプニッツ方式により計算すると、逸失利益は、三八八三万九七四四円となる。原告は、西島良太の死亡によりこれを承継した。
(二) 葬儀費用相当額 金五〇万円
(三) 慰藉料
原告は、西島良太の死亡により甚大な精神的損害を被ったところ、これを慰藉するための賠償額は八〇〇万円が相当である。
(四) 弁護士費用 金一五〇万円
7 よって、原告は、被告らに対し、連帯して、不法行為に基づく損害賠償金四八八三万九七四四円とこれに対する不法行為の後である昭和五六年一〇月二一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。
二 請求原因に対する被告国の認否
1 請求原因記載1の事実のうち、西島良太が死亡したことは認めるが、その余は、不知。
2 同2の事実中、本件防空壕は第二次世界大戦中に旧海軍がその使用に供するために掘削し、使用していたことは認めるが、その余は、不知、又は争う。
西島良太の死亡は、不可抗力によるものである。すなわち、後記のとおり、旧海軍関係の防空壕については、国による危険防止措置が講ぜられてきたが、その間、長期間にわたり、本件防空壕は発見されず、また、その位置も一般人が接近するような場所になく、西島良太の死亡まで同種の事故もなかったのであって、危険ないし損害の発生は、予測しうる状況にはなかった。
3 同6は、争う。
三 請求原因に対する被告千葉県の認否
1 同1のうち、西島良太が昭和五六年一〇月二〇日に本件防空壕内で土砂崩れにあって死亡した事実は認めるが、その余は不知。
2 同3のうち、警察官が本件防空壕の存在を知っていたとの事実は否認し、その余は不知。
本件防空壕は市街地から離れた私有地内にあり、立木に覆われてその入口も見えず、警察官が報告をうけたこともないのであって、被告千葉県は、本件防空壕の存在は知らなかった。
3 同6は、争う。
四 請求原因に対する被告八日市場市の認否
1 同1のうち、事故発生の時刻は不知。その余の事実は、認める。
2 同4は、争う。
法定外公共物は、市に管理権がないし、事実上管理すべき者が国家賠償法二条の「管理者」に含まれるものではない。また、事故以前に立札を設置したことはない。
3 同6の事実は、不知。
五 請求原因に対する被告江波戸豊子の認否
1 同1の事実は、不知。
2 同5は、否認する。
3 同6は、争う。
六 被告国の抗弁
1 本件防空壕は、昭和二〇年八月一五日以降はその設置の目的を失って事実上その使用を廃しており、国家賠償法二条にいう公の営造物に当たらない。
旧海軍に関する残務整理は第二復員省に継承され、防空壕関係は、昭和二〇年一二月一七日第二復員次官通牒「海軍の掘削せる地下壕の処分に関する件申進」において、右地下壕が私有地に存在する場合は原則として地表所有者に無償譲渡すること、危険防止措置は壕を設置した軍又は官庁が行い、右措置を都道府県市町村に委託した場合はその費用を軍又は官庁が負担し、また地表所有者が自己の費用で危険防止措置を講じたときは第二復員省が実費弁償することとされ、のち、昭和二一年二月一八日第二復員省総務局長、経理局長「補償に関する伸進」により、右補償の件が内務省の所管に移され、同年三月三〇日第二復員次官通牒「海軍の掘削せる地下壕の処分に関する件申進」は、前記昭和二〇年一二月一七日通牒を改め、工作物として取り扱う程度に至らない仮設物は地表所有者に無償譲渡するを原則とし、工作物として整理すべきものは所管財務局に承継させることとした。
このように、旧海軍関係の防空壕は第二復員次官通牒による地表所有者への無償譲渡又は所管財務局への引き渡しによって整理されてきたものの、本件防空壕は、その存在が当時第二復員省に確認されなかったために右処理を経ないままに残存したものであるが、昭和二〇年八月一五日に公用廃止され、原則として地表所有者に無償譲渡されるべきものであり、長年にわたってその存在が判明しなかったという事情を考慮すれば、譲渡行為の有無にかかわらず、当然に地表所有者の所有に帰したものである。
2 本件防空壕はいつ土砂が崩れるかわからない危険な状態となっており、学校においても近づかないように注意されていたのにもかかわらず、西島良太が入口から七〇メートルのところまで入り込み、その天井をつついたために土砂が崩れ、同人が死亡するに至ったのであって、同人の死亡は、専ら同人の過失に起因するというべきである。
七 抗弁に対する認否
1 抗弁記載1の事実は、不知。
2 同2の事実のうち、西島良太の死亡が専ら同人の過失に起因するとの点は、争う。
第三 証拠<省略>
理由
一 <証拠>によれば、次の事実が認められ、これを覆すに足りる証拠はない。 原告と亡和子(昭和五四年三月二日亡)の長男である西島良太(昭和四一年七月二日生。当時中学三年生)は、昭和五六年一〇月二〇日午前六時過ぎころ、化石採取のために、同級生二名と共に本件防空壕へ立ち入り、同壕を三〇分ないし四〇分歩き回り、壕の入口から約七〇メートルのところに至った地点において、七時一三分ころ、棒で地面を掘っているとき、壕内の土砂が崩れて生埋めとなり、同日一〇時二七分ころ救出されたものの、一〇時三八分ころ死亡が確認された(原告と被告国、同千葉県及び同八日市場市との間では、西島良太が死亡した事実は争いがなく、原告と被告八日市場市との間では、西島良太が右同日本件防空壕内に入った事実も争いがない。)。
二 防空壕が地中を掘削して空間を設け、土砂の崩壊を防止するための支柱や板を設置するなどして右空間を支え、右空間をあたかも地表にある建物の内部のように利用する施設であることは、公知の事実であり、このような防空壕を構成する空間は、その囲壁をなす周囲の土砂及びこれを支える支柱等とともに、右壕の掘削されている土地とは独立の工作物(不動産)として所有の対象となりうるものと解するのが相当である。
本件防空壕が第二次世界大戦中に旧海軍によって掘削され、その用に供されていたことは、原告と被告国との間に争いがなく、右争いがないこと及び弁論の全趣旨によれば、右事実は、原告とその余の被告らとの間においても認めることができる。
これによれば、本件防空壕は、右大戦中、旧海軍(国)の用務に供されていたものとして、講学上のいわゆる公用物に当たるものと解されるが、右用務の性質上、右大戦の終了した昭和二〇年八月一五日をもって公用が事実上廃止されたものと解するのが相当である。そして、右公用廃止がされた以上、本件防空壕をもって国家賠償法第二条にいう公の営造物に当たるということはできないから、同条の適用を論ずる余地はない。
三 しかしながら、右公用廃止によってはもちろん、その後これを放置してきたという事実のみによっては被告国の本件工作物に対する占有が失われたものと解することはできないから、次に工作物である本件防空壕の所有者兼占有者としての被告国の民法七一七条に基づく責任について検討するに、同被告は、西島良太の死亡当時、本件防空壕の所有権はその占有とともに既に他に移転していた旨主張する。
弁論の全趣旨によれば、旧海軍に関する残務整理は第二復員省に継承され、防空壕関係については、昭和二〇年一二月一七日復員次官通牒「海軍の掘削せる地下壕の処分に関する件申進」において、右地下壕が私有地に存在する場合は原則として地表所有者に無償譲渡し、危険防止措置は壕を設置した軍又は官庁が行い、右措置を都道府県市町村に委託した場合はその費用を軍又は官庁が負担し、また地表所有者が自己の費用で危険防止措置を講じたときは第二復員省が実費弁償することとされ、のち、昭和二一年二月一八日第二復員省総務局長、経理局長「補償に関する伸進」により、右補償の件の所管が内務省に移管され、同年三月三〇日第二復員次官通牒「海軍の掘削せる地下壕の処分に関する件申進」により、前記昭和二〇年一二月一七日通牒が改められ、工作物として取り扱う程度に至らない仮設物は地表所有者に無償譲渡するを原則とし、工作物として整理すべきものは所管財務局に承継させることとなったことが認められる。
本件において、本件防空壕の存在が右当時第二復員省に確認されなかったために地表所有者への無償譲渡又は所管財務局への承継の処理を経ないままに残存したことは、被告国において自認するところである。右無償譲渡のための措置が講ぜられることもないにもかかわらず本件防空壕が地表所有者に譲渡されたものと解することはできないし、被告国の主張のように譲渡行為の有無にかかわらずそれが当然に地表所有者の所有に帰したものと解することもできないから、被告国がその所有権を喪失し、これとともにその占有をも喪失したものということはできない。
本件防空壕が第二復員省によってもその存在が確認されなかったことは右認定のとおりであり、被告国は、西島良太の死亡事故の発生に至るまで、本件防空壕の存在に気付かず、このためにその入口をふさぐなど立入りを防ぐ措置を講じることもなく放置してきたことが弁論の全趣旨によって認められる。本件防空壕の入り口は、成育する篠竹等のために公道から見えることはないが、公道からの距離は約三〇メートルであり、人家が比較的近くまで建てられていることが検証の結果及び弁論の全趣旨により認められる。このように、人家からあまり離れていない位置に入口を有する本件防空壕への立入りを防止する措置を講じることなく長年にわたって放置してきた点において、被告国は、その所有及び占有に属する本件防空壕の保存に瑕疵があったものというべきである。
被告国は、本件防空壕が調査の際も判明せず、また一般人が接近するような場所にないことなどを理由に、西島良太の死亡が専ら同人の過失による旨主張するが、一般に好奇心のみ旺盛で、必ずしも十分な分別を有しないといいうる中学生であった同人がその興味の赴くままに、危険をも顧みることなく、本件防空壕に立ち入ったことは推認に難くないのであって、同人に過失があることは否定できない(この点は、後に斟酌する。)ものの、被告国の右主張の事情が存するとしても、同人の死亡が専らその過失によるものとまでいえず、被告国は、責任を免れえない。
四 次に、被告千葉県の責任についてみると、本件防空壕の存在自体は、警察官職務執行法四条一項により警察官に危険排除義務を生ぜしめるものでないことは明らかであり、千葉県警察本部八日市場警察署の警察官が本件防空壕の存在を知っていたかどうかにかかわりなく、被告千葉県に国家賠償法一条に基づく責任が存するということはできない。
五 先に認定したとおり、本件防空壕は被告国の所有に属する工作物であり、被告八日市場市が本件防空壕を管理すべき法律上の義務を負わないことは明らかであるし、事実上もこれを管理していたと認めるに足りる証拠もない(西島良太の死亡後、同被告において本件防空壕の入口付近に「立入禁止」の看板を設置したことが証人飯田弘の証言により認められるが、右事実から同被告が本件防空壕の管理をしていたものと認めることは、到底できない。)。
また、原告は、被告八日市場市に本件防空壕の法的管理責任が存しないとしても、事実上管理すべき責任がある旨主張するが、右主張は、およそ法律的な意味を有せず、その失当であることは明らかである。
六 次に、<証拠>によれば、本件防空壕の入口付近の土地は被告江波戸豊子の所有に属することが認められるが、前述のように本件防空壕は被告国が所有かつ占有しているものであり、その掘削について承諾を与えたかどうかにかかわりなく、他人の所有する工作物について、それが存する土地の所有者である被告江波戸豊子が、民法七一七条の責任を負ういわれはない。
七 そこで、原告の損害について、次に検討する。
1(一) 西島良太は、死亡当時満一五歳で、一八歳から六七歳までの四九年間就労可能であったということができ、就労期間中毎年、昭和五六年度賃金センサスの産業計、企業規模計の男子労働者の学歴計年間給与額三六三万三四〇〇円の収入を得ることが可能であったというべく(西島良太が大学へ進学する蓋然性を認めるに足りる証拠はないから、賃金センサス産業計、企業規模計の男子労働者の大学卒のものを基準に算定することは相当でない。)、右収入金額から生活費として五割を差し引き、ライプニッツ式計算法により年五分の中間利息を控除すると同人の死亡当時の逸失利益現価額は、二八五一万二七四三円となる。原告は、西島良太の父(前記のとおり、母和子は良太の死亡前に死亡した。)であるから、同人の損害賠償請求権を相続した。
(二) 弁論の全趣旨によると、原告が西島良太の葬儀費用として金五〇万円を支出したことが認められる。
(三) 原告は、突如として一人息子を喪い、甚大な精神的苦痛を被ったというべく、西島良太の死亡態様その他の諸般の事情を考慮すると、慰藉料は八〇〇万円と認めるのが相当である。
2 西島良太は、中学三年生であって本件防空壕に入ることに伴う危険のあることは容易に理解しえたものというべきで、同人にも過失があったものといわなければならない。原告の損害賠償額を算定するについて、被害者である西島良太の過失を斟酌してその約八割を減額すると、原告の損害額は、七四〇万円となる。
3 原告が本件訴訟のために原告訴訟代理人に訴訟委任したことは、当裁判所に顕著であり、事案の性質、認容額その他諸般の事情を考慮すると、西島良太の死亡による損害としての弁護士費用は、一〇〇万円と認めるのが相当である。
八 以上によると、原告の被告国に対する本訴請求は、八四〇万円とこれに対する本件事故発生の日の後である昭和五六年一〇月二一日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がありうるから正当として認容し、原告の被告国に対するその余の請求と原告の被告国以外の被告らに対する請求はいずれも失当であるから棄却し、訴訟費用につき、民事訴訟法八九条、九二条、九三条一項本文、仮執行の宣言につき同法一九六条一項、同宣言の免脱につき同条三項を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 江見弘武 裁判官 小島正夫 裁判官 片田信宏)